食べなきゃソン!! | 花とゆめ1974年6月号〜'75年18号、全24回 花とゆめコミックス「食べなきゃソン!!」全3巻 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
大文字五美は7人兄妹の長女、小学生。両親は屋台のおでん屋を経営し、母親は銭湯「あいらぶ湯」のおかみさんの姉です。父親の夢は自分の飛行機を持つことと、長男の一馬におでん屋をつがすこと。一方の一馬はカメラマンになるのが夢で、大学の写真学科にこっそり通っています。 子だくさんだが明るい家族で毎日が大騒ぎですが、五美は同級生の須藤くんに気があって、見栄をはってみたり、恋敵と確執をくり返したり…。一馬も写真家の娘の葉子と仲良くなって、葉子も家に出入りするようになります。しかしそのうちに一馬のカメラマン志望が父親にばれてさあ大変!父親と一馬の夢はかなうのでしょうか…? 最初は読み切り連載的に独立したエピソードが続きますが、一馬と葉子さんの話が盛り上がってストーリーの連続性が形作られていきます。 それにしても最終回最後の五美の (20年後の) 姿は、結局誰とどうなったのでしょうか?想像をかき立てます (もう30年たちましたが)。
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いただきま〜す!! | 花とゆめ1975年22号〜'76年15号、全18回 花とゆめコミックス「いただきま〜す!!」全3巻 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
大学生の上杉圭太郎は父親が学生時代に通ったというよだれ屋にむりやり連れてこられますが、よだれ屋の看板娘の藤沢みのり (高校生) に心を奪われて、ついには店の裏のぼろぼろの下宿屋「学徒館」に引っ越してきます。 下町の住人と交流するうちに、みのりの出生の秘密を知ってしまう圭太郎。そしてその秘密はみのりの姉の琴絵の隠された過去とも関係しており、みのりに知られまいとする両親や下町の住人たち、琴絵に知られまいとする友人大石のどたばた騒ぎが琴絵の誤解や巧 (みのりの弟) と圭太郎の勘違いを引き起こして収拾がつかない方向へと進んでいきます。 一方みのりは、高校の先輩の柴山に淡い想いを抱いていますが、その先輩の家庭の事情を知って動揺しているうちに、やがて自分の出生の秘密にも勘づいてしまいます。しかし最後には先輩との別離を経て、周囲のみんなの暖かい気持ちにあらためて気づくのでした。 主人公だった圭太郎が後半で一時舞台から姿を消し、その間に話がどんどんややこしくなっていくので、読んでいる方はどうなるものかとはらはらしますが、最後にほろりとさせられて終わります。 それにしても、みのりの生まれた年が昭和34 (1959) 年だったり (2004年で45歳!)、「ちかれたび〜」という昔はやったギャグのだじゃれが出たりするところに時代を感じます。 「食べなきゃソン!!」ではまだ別冊マーガレット時代の画風を引きずっていましたが、「いただきま〜す!!」では既に後半期の画風が確立されています。
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四つの愛の物語 | 花とゆめ1976年16号〜22号、全4回 花とゆめコミックス「四つの愛の物語」 | ||||||||||||||||||
4つの独立したエピソードの連作で、花とゆめ本誌に隔号連載されました。親子愛などさまざまな愛の形をシリアスに描いた作品です。 今までのホームコメディの中でも悲しいエピソードや寂しいエピソードが出てきましたが、それを前面に押し出した作品群です。人はみな、悲しいけどどうしようもないことがあることを経験しつつ成長していきます。そのことを作品に反映させるこやの先生は、だからこそ単なるギャグではない深みのあるコメディを描けるのでしょう。
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あいらぶ湯 | 旧シリーズ:別冊マーガレット 1973年12月号、'74年3月号、11月号、全3回 新シリーズ:花とゆめ1976年24号〜'78年2号、全14回 花とゆめコミックス「あいらぶ湯傑作選」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
あいらぶ湯は下町の社交場。兄の恋次はライバル銭湯の「大黒屋」の娘の雪絵とつきあっています。発明屋 (食べなきゃソン!!でもおなじみ) は毎回珍発明を持ち込み、いつも大騒動。そんな中で愛は高校のラグビー部の西村周太郎にあこがれます。鈍感な周太郎に愛の想いは届くのでしょうか? 2シリーズに渡って発表された作品だけに、「あいらぶ湯」はこやの先生の代表的なキーワードです。新旧のシリーズで登場人物の名前や設定はほとんど同じですが (なぜか姓と年齢が微妙に違います)、絵柄が違うので見比べてみるのも一興でしょう。 髪が黒いのは共通していますが、旧シリーズ第1作では目が大きい上に体型がすらりとしています。新シリーズでは「いただきま〜す!!」のみのりの髪を黒くしたような感じです (旧シリーズ第3作では新シリーズに近くなっています)。 ただし新シリーズも、読み切りのエピソードの隔号連載という形で発表されます。別冊マーガレットは基本的に読み切り作品ばかりで (例外的に美内すずえ先生が連載していました)、そこで育ったこやの先生は「いただきま〜す!!」のようにストーリーが連続するものよりも読み切り作品の方がむいていたのかも知れません。 なお、参考までに、東京都の銭湯料金は旧シリーズの頃の1973年で55円、'74年で75円、新シリーズの頃の'76年で120円、'77年で140円、'78年で155円でした (毎年上がっていました)。2003年で400円です。東京都以外の地方では300円代が多いようです。
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(仮想) こやのかずこ選集 [文庫本版] 原画コレクション 未発表作品